2023年度修士論文発表会
修士論文発表会で改めて感じた“先進実践学環の面白さ”
去る2月13日に行われた先進実践学環の修士論文発表会に参加し、先輩方の発表を聞くとともに質疑応答まで関わらせていただきました。私の所属する研究室には今年の修了生はいませんでしたが、学環の様々な分野の諸先輩方の研究の成果を見ることができました。その中から、私が興味を持った発表についていくつか話をしようと思います。
一つめは、同じ人間力創生テーマの先輩で、江戸時代の日本の漢詩人である大窪詩仏に関する研究を行ったものについての発表です。以前からお世話になっていた先輩であり、関連する分野を先進実践学環への入学以前から学んでいたこともあって、今回の発表の中で一番自分の知識がある内容でした。簡単な質問から少し難しい質問までさせていただきましたが、議論することでその研究への理解をより深めていくことができました。学環といえば異分野融合がとても盛んなのですが、ここでもそれが発揮されており、他分野の先生方からは、AIによる分析はどうかという質問がありました。これに対して、読み方は人によって様々なので難しいが、逆に創作であれば漢詩の持つ規則性を生かせば機械学習を活用することでできるようになるのではないか、という形で話が発展していきました。
二つめは、リスク共生テーマでマタタビの白色葉についての研究を行ったものの発表です。この先輩は私も今年参加したワークショップⅠの授業で、去年最優秀プレゼンテーション賞を取った方と聞いていたので、どのような発表をされるのか少し気になっていました。実際に話を聞いてみると、専門用語をかみ砕いて説明してくださったり、ポスターに自作の絵を使って変化を分かりやすく見せていたりという工夫があり、先進実践学環の授業で植物学の末端をかじった程度の私でも話の最後までついていくことができました。他分野の授業を取ることができることは先進実践学環の面白さのひとつですが、それによってその分野の研究を楽しく見ることができたことは先進実践学環で学んできてよかったことだと今感じています。
三つめは、同じリスク共生テーマでアンサンブルシミュレーションを用いて台風の分析をした研究の発表です。この内容にはこれまで学環の授業でも全く触れていなかったのですが、こちらも発表者の先輩の熱意と分かりやすい説明に心惹かれました。初めて聞く話ということもあって何もわからない中でしたが、丁寧かつ分かりやすい表現で解説していただいたことで、楽しく話を聞くことができました。前述したワークショップⅠでも他分野の方の発表を聞いて分からなかったこと、あるいは自分の発表を聞いて他の方に伝わらなかったことも多々あったと思うのですが、どういう形で説明すると伝わるかの一つの参考として勉強になりました。
この他にも、本当に多種多様な研究の発表があり、一通り見聞きさせていただきましたが、なんとなく分かるようなものから初見では全然わからないものまで、興味深く見ることができました。同学年の学生とも交流しながら様々な発表を見ていましたが、どの研究の前にも人が絶えず、そこで話が広がっていくところを肌で感じました。とはいえ、自分が来年発表者としてそこに立つということをなかなか想像できないのが現状です。私の研究にどのようにつなげられるかは分かりませんが、ポスターの見やすさ、話の分かりやすさ、質疑応答の受け答えなど、発表への取り組み方を生かすことはできると思うので、残る1年弱の中で学んだことをつなげていきたいと思います。
先進実践学環修士1年
渡邉 裕太