2025年度修士論文発表会
学問の狭間を歩める人たち同士の対話から生まれる、新たな発想の種
先進実践学環2025年度修了生の修士論文発表会が2026年2月17日に開催されました。私は今年度修了生として研究発表を行いながら、同じタイミングで大学院を修了する仲間の発表を聞いて質疑応答に参加させていただきました。
修了生として修士論文発表会に参加して改めて感じたのは、【全く異なる専門分野の人たち同士の対話から生まれる知的な広がりとそのありがたさ】です。分野の異なる人からの質問は、思いもよらぬ方向から飛んでくることも間々ありますが、その「思いもよらぬ方向からの質問」こそ、見落としていた観点を把握して検討するきっかけとなります。
こうした分野をまたいだ対話という貴重な機会が成立する背景には、先進実践学環の分野融合の学びの中で培われた、発表者と聴衆の皆様の素養の高さがあると考えます。
まず、発表者である修了生の凄さは、2回のワークショップにおける発表経験を活かして、発表を聞きに来た相手の興味や理解度に合わせて、ユーモアを交えながら研究の魅力を発信できるところです。このように、相手の視点を想像したうえで説明や質疑応答をすることができる学生の能力が、分野を超えた対話の基礎となっています。
また、発表の聴衆である皆様の凄さは、果敢に自分の専門とは異なる研究発表を聞きに行くことができる知的好奇心と知的な交流に対する開放性です。専門が異なる発表を聞くときには、各学問が前提とするものの考え方や基礎知識を一から理解する必要がある場合も多く、自分が無知であることを実感すると共に、発表内容を飲み込むにも負荷がかかります。しかし、先進実践学環に関わる皆様は、新しいことを理解し吸収することを楽しいと考えて、素直に分からないことを質問することができるため、結果として研究内容や研究分野に対して理解を深めることができます。
2026年2月中旬に開催されたミュンヘン安全保障会議の報告書冒頭において、「世界は破壊的な政治の時代に入った(The world has entered a period of wrecking-ball politics.)」と述べられたように、現在は先行き不透明な変革の時期に差し掛かっていると捉えられるでしょう。こうした時代にこそ、先進実践学環の皆様が培ってきた【相手の視点に立てる想像力】や【知的な交流に対する開放性】は、分野を越えて協力しながら解決策を探り、コミュニケーションを取りながら先へ進んでいく力となり知恵となることでしょう。
先進実践学環修士2年
廣瀬 亜紀