横浜国立大学大学院 先進実践学環

付 亦冉さん

現在の研究テーマについて教えてください。

化粧品業界の中小企業におけるエコイノベーションの推進要因を、消費者の視点から研究しています。

具体的には、実験設備を持たない中小企業が、新しい商品やビジネスの仕組みをどう構築していくかという「エコイノベーション」がテーマです。これまでの先行研究は企業側からの視点が多かったため、私はあえて「消費者(お客さん)」の立場に立って研究を進めています。

消費者がエコ商品を選ぶ際、どんな要素が「買ってみたい」「使ってみたい」という気持ちに影響するのか。また、それが企業の売上やブランドイメージにどう繋がるのかを明らかにしたいと考えています。

具体的には、アンケート調査で収集したデータを「TAM(技術受容モデル)」という手法を用いて分析しています。これは、人々が新しい技術や仕組みをどう受け入れるかを説明する心理モデルで、近年ではサステナブル商品の受容分析などにも応用されています。

「有用性(どれだけ役立つか)」と「容易性(どれだけ簡単に使えるか)」の2軸から、消費者の購買意図や利用意図への影響を解明し、最終的には中小企業が取り組みやすいビジネスモデルのヒントを提示することが目標です。

先進実践学環を選んだきっかけは?

学部時代は経営学科でSDGsに関するゼミに所属しており、その活動の一環で、廃棄される鉄製品や自動車部品の再利用(リサイクル)に関するインターンシップに参加しました。

そこでは、鉄製品をどれくらい再利用できるかについて、DX(デジタルトランスフォーメーション)を用いて分析する必要があったのですが、当時の自分には文系の知識しかなく、満足な分析を行えませんでした。

「経営学の知識だけでは足りない、理系の知識もないとダメだ」と考えていた矢先に、横浜国立大学の先進実践学環のホームページで「文理融合」「異分野融合」というキーワードを目にしました。ここなら自分の課題を解決できるかもしれないと感じ、受験を決意しました。

学環の魅力や、印象に残っている授業はありますか?

学環の最大の魅力は、学生の多様性だと思います。私は経営学が専門ですが、同級生には植物の研究をしている人や、AIやロボット義手の研究をしている人など、専攻も国籍もバラバラな人が集まっています。

毎年行われるワークショップでは、自分とは全く異なる分野の研究に触れることができ、そこで異分野の学生たちと交わす議論を通じて、自分の専門外の知識も自然と増えていくのが面白いですね。

印象に残っている授業は、1年次に受講した「グローバルイノベーションマネジメント特論」です。ソニーや任天堂といった実際の企業の成功事例・失敗事例を題材に、グループディスカッションを行いました。成功と失敗の理由を多角的に議論し、先生からフィードバックをもらうプロセスがとても刺激的でした。

将来の目標を教えてください。

修了後は、東京のコンサルティング会社への就職が決まっています。元々は修了後に中国へ帰国することも考えていましたが、日本での生活やインターンシップ、アルバイトを通じて日本の職場文化に触れるうちに、日本で働き続けたいという思いが強くなりました。コンサルタントとして、企業が抱える課題を解決し、支援していけたらと考えています。

受験生へのメッセージをお願いします。

先進実践学環は、「決まった答え」がある場所ではありません。まずは自分自身が何を解決したいのか、何を勉強したいのかという目標を立てることが大切です。その上で、「この学環でどうやってその目標に近づくか」という明確な意識を持って入学することをお勧めします。

また、入試の面接などでは、優等生的な「正解」を答えるよりも、自分が本気で思っていることを自分の言葉で素直に話すほうが、より思いが伝わると思います。皆さんとキャンパスで会えることを楽しみにしています。