横浜国立大学大学院 先進実践学環

荒木 一郎 先生編(専門:国際経済法/研究テーマ群: 国際ガバナンス)

今回のインタビューは国際経済法がご専門の荒木一郎先生にお伺いします。

Q. ご専門の内容について、少しお話しいただけますか。

荒木  通商関係の国際的な取り決めの枠組みについて研究しています。通産省(現在の経産省)で長く国際的な通商に関わる業務に携わり、GATT(現在のWTO)での紛争解決にも取り組んできました。ここ数年、国際情勢の変化によってこれまで運用してきた通商ルールが崩れています。国家の間のぶつかり合いに、法の支配をどう実現していくか、と言った大変エキサイティングな教育・研究に取り組んでいます。

Q. 先生の授業ではどのようなことを学べますか。

荒木  担当講義「国際経済法」では、教科書からだけでなく、実務で何が行われているかといった私の経験に基づいた話を交えて、実務と理論の両方に渡る授業をしています。
留学生の受講者も多いので、英語と日本語で講義をしています。とはいえ、事前に学べる予習用の音声教材も準備しているので、英語に心配な方でも十分についていけます。
また、Japan’s Development Experience(「日本の開発経験」)という講義は、土木系の先生と法律系の先生が一緒になって、インフラ開発に力点をおいた文理融合科目です。開発途上国から先進国になった日本の開発経験で、法がどういう役割を果たすようになってきたかを学ぶことができる貴重な機会です。

Q. このインタビューでは、「私の1冊」としてオススメの本を伺っております。先生からはどのような本をご紹介いただけますか。

荒木  紹介したい本としては、古典プラトン『国家』(岩波文庫)です。高校生の頃アメリカで受講した公民の授業で勧められて読みました。民主政治についてじっくり考えることができる古典を、ゆっくり読んでみることはとても大事です。

Q. 最後に志望する学生にメッセージをお願いします。

荒木  先進実践学環の特徴といえば文理融合です。これは、いろいろな分野の勉強ができるということです。専門領域にこもってしまうと世の中のことを広く理解することが難しいでしょう。理工系だから文系の先生の話は難しくてよく分からないので嫌とか、文系だから理工系の話してもしょうがないと言う風に思わずに、使えるリソースをできるだけ使って、大学における自分の研究を展開していく、ということをぜひ心がけていってもらいたいと思います。

理論的・実務面で国際貿易の枠組み学ぶことができて、ニュースで報じられる世界の情勢への理解が一歩進むような学問ですね♪

荒木 一郎

横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授。国際法、中でもとりわけ通商法(貿易投資法)を専門とする。 カリフォルニア大学バークレー校法学修士(LL.M)。WTOの紛争解決小委員会(パネル)委員も務めている。